帝京大・本気の挑戦がはじまる 日本選手権1回戦・トヨタ自動車に敗退 | ラグビージャパン365

帝京大・本気の挑戦がはじまる 日本選手権1回戦・トヨタ自動車に敗退

2014/02/17

文●斉藤健仁


2月16日、秩父宮ラグビー場では第51回日本選手権・1回戦の2試合が行われた。2週連続となる大雪の影響で開催自体が危ぶまれたが、前日から行われた早稲田大、帝京大、慶應義塾大、明治大、立教大のラグビー部員210名をはじめ、関東ラグビー協会、日本ラグビー協会の役員やボランティアなどラグビーファミリーの献身的な雪かきにより、予定通り行われる運びとなった。

14時5分にキックオフされた2試合目は、大学選手権で5連覇を達成した帝京大がトップリーグ6位のトヨタ自動車ヴェルブリッツに挑んだ。試合開始早々、帝京大はSH流大(3年)を中心に素早い展開から相手陣深くに攻め込むも、得点に結びつけることはできなかった。

2トライを挙げたトヨタFL安藤

2トライを挙げたトヨタFL安藤

「僕が入部する前ですが、8シーズン前に早大に負けていたので、社会人相手だと思って、この1週間、同じプロセスで準備してきました」(FL安藤泰洋)というトヨタ自動車はスクラム、ラインアウトというセットプレーでプレッシャーをかける。

トヨタがモールで押し込む!

トヨタがモールで押し込む!

7分にはゴール前ラインアウトからその安藤がインゴールにボールを押さえて先制トライ(7-0)。続く14分にはスクラムから連続攻撃を見せて、最後はLO谷口智昭がトライを挙げて12-0。さらに31分、相手のラインアウトにプレッシャーを掛け、再び安藤が相手のパスをインターセプトし、30mを走りきって左隅にグラウンディング、17-0とリードを広げた。

帝京・中村亮土

帝京・中村亮土

トヨタ自動車のディフェンスと接点の強さの前に、なかなか敵陣でチャンスを作れなかった帝京大だったが、34分、ようやく22m付近でPKを獲得。CTB中村亮土(4年)がPGを決めて3点を返す。前半はそのままトヨタ自動車が17-3とリードして折り返した。

鮮やかな展開からトライを決めたWTB磯田

鮮やかな展開からトライを決めたWTB磯田

後半、先に点を取ったのはハーフタイムに「もう一度、集中し直して、思いっきりやろう」と岩出雅之監督に送り出された帝京大だった。7分、相手のノックオンしたボールをターンオーバーし、ボールを継続。最後はラインブレイクしたCTB中村主将から、快足WTB磯田泰成(3年)にパスが渡り、磯田がそのまま左隅にトライを挙げた(CTB中村のコンバージョン失敗で17-8)。

帝京大出身のトヨタSH滑川

帝京大出身のトヨタSH滑川

だが、9点差に追い上げられたトヨタ自動車も得意のフィジカルを軸に、トップリーグ上位チームとしての強さを見せる。15分、相手が自陣からクイックスローインで攻めてきたところを、密集でボールを奪い取り、SO文字隆也の突破から、帝京大出身のSH滑川剛人がトライ(24-8)。25分にも連続攻撃から32歳のベテランWTB水野弘貴がトライを挙げて31-8と突き放した。

竹田のトライ

竹田のトライ

だが大学王者もあきらめない。34分、ゴール前のラインアウトを起点にラックを連続支配し、SO松田力也からパスを受けたFB竹田宜純(4年)がインゴールに飛び込んでトライ(31-13)。

来シーズンの主将に決まったSH流大

来シーズンの主将に決まったSH流大

来シーズンの主将に決まったSH流は「攻撃は通用していた」と胸を張った。しかし、次のキックオフからのアタックでノックオンしてしまい、トヨタ自動車が攻め返し、SO文字のロングパスを受けたLO北川俊澄が左中間にトライ(38-13)を挙げて、試合はそのまま38-13でノーサイドを迎えた。

得点のチャンスを演出したSO松田

得点のチャンスを演出したSO松田

学生相手に無敗で前人未到の大学選手権5連覇を達成した帝京大だったが、目標に掲げていた打倒トップリーグ勢撃破の野望は果たせず、今シーズンを終えた。勝利したトヨタ自動車は2回戦に進出し、23日(日)に秩父宮ラグビー場で、1回戦で筑波大を69-26で下した東芝ブレイブルーパス(トップリーグ3位)と対戦する。

 

圧倒的な突破力を見せたFLヘーデン・ホップグッド

圧倒的な突破力を見せたFLヘーデン・ホップグッド

トヨタ自動車・廣瀬佳司監督
「難しいゲームということは承知していて、すべて受け入れて厳しいゲームを1点差でもいいから勝とうと準備してきました。ミスもありましたがセットプレーでプレッシャーをかけて、コンテストで厳しいプレーをすることを選手たちがやってくれて、その結果、点差が開いた。来週は東芝戦ですが、次は我々がチャレンジャーなのでフィジカルなプレーで挑んでいきたい」

トヨタの強烈なディフェンスに帝京大も激しくアタックをかけた

トヨタの強烈なディフェンスに帝京大も激しくアタックをかけた

トヨタ自動車・HO上野隆太主将
「帝京大さんは学生チャンピオンということで、しっかりとしたラグビーをしてくると分析していたので、自分たちもしっかりとしたラグビーをして勝とう思っていました。予想通り、帝京大さんが激しいチャレンジをしてくれたので、良い試合になりました。帝京大から与えられた課題を修正し、東芝と戦いたい」

 

スクラムでは何回かターンオーバーされる場面も。

スクラムでは何回かターンオーバーされる場面も。

帝京大・岩出雅之監督
「(試合は)良いプレーもたくさんありましたが、まだまだ甘いプレーもたくさんありました。学生たちがこの1年、私が設定したトップリーグ挑戦という目標を一生懸命やってくれたと思います。来シーズン、トップリーグ超えるという目標を、後輩たちが選手主体で本気になってチャレンジしてくれると思います。 来シーズンの主将はSH流(大)、副将はPR/HO森川(由起乙)となりました。今シーズンも、いろいろありがとうございました」

帝京大・SO中村亮土主将
「80分間の中で通用したところと、まだ修正しなければいけないところが見えました。接点やブレイクダウンに関しては、プレッシャーはありましたが、負けている感じはありませんでした。このチームとしては今シーズンを終わりますが、来シーズン、本気で(トップリーグチームに)リベンジしていくチームを応援していきたいと思います。個人的には学生最後の試合というより、負けて悔しい気持ちの方が強いですね」

 

斉藤健仁
スポーツライター。1975年4月27日生まれ、千葉県柏市育ち。印刷会社の営業を経て独立。サッカーやラグビー等フットボールを中心に執筆する。現在はタグラグビーを少しプレー。過去にトップリーグ2チームのWEBサイトの執筆を担当するなどトップリーグ、日本代表を中心に取材。プロフィールページへ


 

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